家の土台として重要な基礎は、基礎補強工事をすることで、半永久的に寿命を延ばすことができます。そんな基礎補強は、どれくらいが平均相場なのでしょうか。
基礎補強工事の平均相場について、具体的に紹介していくので、参考にしてみてください。
基礎補強工事が必要な住宅の特徴
基礎補強工事の平均相場を解説する前に、基礎補強工事が必要な住宅とは、どのような住宅なのでしょうか。基礎補強が必要な住宅の特徴を紹介していくので、参考にしてみてください。
1981年以前に建設された木造住宅
基礎補強が必要な住宅の特徴として考えられるのは、第一に1981年以前に建設された木造住宅です。理由としては、旧耐震基準で建設されたことから、基礎部分の耐震性が現在の基準より低くなっているためになります。
旧耐震基準は、震度5弱ほどの地震に対して、即座に建物が倒壊しない、布基礎が義務化されていました。しかし、この基準では震度5以上の地震に対して、基礎の耐震性が不十分でない可能性があります。
実際に、阪神淡路大震災で倒壊した住宅は、1981年以前に旧耐震基準で建設された木造住宅と言われているので、基礎補強を実施し、基礎の耐震性を高める必要があるでしょう。
基礎にひび割れが発生している
基礎コンクリートにひび割れが発生している場合は、基礎補強を速やかに実施することが大切です。実際に、基礎補強が必要なのか、自分で判断することが出来ない方は、基礎コンクリートの状況を業者に確認してもらうことで、適切な処置を施してくれるでしょう。
また基礎コンクリートのひび割れを放置していると、水分を吸収してしまい、鉄筋部分がサビてしまったり、建物の重量に耐え切れず、地盤沈下が発生してしまう恐れがあるので、注意が必要です。
無筋基礎の住宅
昭和25年~昭和56年頃に建設された住宅は、基礎部分に鉄筋が入っていない、無筋基礎の住宅であるケースが多く、耐久性が低い可能性があります。無筋基礎は、耐久力が低く、経年劣化が進行すると倒壊するリスクがあるのです。
無筋基礎の住宅は、耐震性も低く、水平方向の地震による基礎部分の劣化が発生する可能性も高いので、速やかに基礎補強を行うことが重要になります。
基礎補強工事の平均相場について
基礎補強は、施工内容によって平均相場が異なります。どれほど相場が違うのか、詳しい内容を紹介していくので、参考にしてみてください。
基礎のひび割れ補修
基礎のひび割れ補修工事は、状況によって金額が変動しますが、平均相場としては1ヶ所あたり、1~2万円ほどが相場となります。住宅全体の基礎がひび割れている場合は、約10万円が平均相場です。ちなみに、工期は2日~3日になることが多いと言われています。
ビックス工法と呼ばれる、ひび割れ表面にパイプを設置し、ゴム製の注入器を入れて、ゴムの圧力でエポキシ樹脂を注入する工法では、1mで1万円~2万円が相場です。
UVカットシール工法
ひび割れ部分に専用の工具でU字型にカットし、シーリング材のエポキシ樹脂を充填してモルタルなどで表面を塗布する工法であるUVカットシール工法では、1mで4,000円~6,000円が平均相場です。
アラミド繊維シートの貼り付け
光ファイバーなどにも使用されている、アラミド繊維のシートを基礎に貼り付け、モルタルを上から塗布するアラミド繊維シートの貼り付けは、1mで2万円ほどが平均相場になります。
炭素繊維シートやマトリックス樹脂を使用した補強工事
高強度で軽量な炭素繊維シートを基礎の表面に貼り付けることで、高い強度を基礎に与えることができます。またマトリックス樹脂で接着することで、基礎補強を行うことが可能です。
これらの工法は、せん断強度や靭性を高める効果が期待できます。平均的な相場は、住宅全体の基礎補強工事で40万円~70万円が相場です。工期は5日間となるでしょう。
基礎コンクリートの増打ち工事
基礎コンクリートの増打ち工事とは、既存の基礎にアンカーボルトを打ち込み、基礎コンクリートを充填する工事のことを指しています。
基礎コンクリートの増打ち工事は、無筋基礎に多く使用される工事で、鉄筋とコンクリートの組み合わせで強固な基礎にすることが可能です。
平均相場は、1平方メートルあたり、4~6万円が相場になります。一般的な広さの住宅であれば、50万円が平均相場です。工期は1ヶ月間ほどかかることが多いでしょう。
基礎補強工事を依頼する業者は適切な相場であるか確認
基礎コンクリートに施工を施すことで、半永久的に寿命を延ばすことができる基礎補強工事ですが、家の将来を預けることから、信頼できる業者に依頼することが大切です。
しかし基礎補強を依頼する業者の見極め方は、実際に依頼したことがない方からすると悩んでしまうでしょう。
信頼できる業者を選ぶ基準としては、第一に適切な費用相場で見積もりを提供しているかどうかです。
業者の中には、見積もりの時点では安価で金額を提示し、後から追加料金を請求するケースがあります。そのため、提示された見積もり金額が安すぎる場合は、注意が必要です。
反対に、平均相場よりも金額が高い場合は、なぜ金額が高いのか確認しておくことが重要になります。あまりにも金額が高い場合は、必要のない請求まで発生している恐れがあるでしょう。
業者の中には、点検や見積もりの段階では、費用が発生しないケースもあるので、相場に近い金額を提示してくれる業者を探すために、いくつかの業者から見積もりを取っておくと、信頼できる業者を見極めることができます。
今回紹介した平均相場を参考に、どれくらいの金額で基礎補強を実施してくれるのか、見積もりだけでも取得してみましょう。
基礎補強工事はハイブリッド工法がおすすめ
基礎補強には、いくつか種類があり、それぞれ基礎に与える効果が異なります。その中でもおすすめしたいのが、ハイブリッド工法です。
ハイブリッド工法とは、樹脂と強化繊維を複合的に使用し、基礎コンクリートを補強する工法になります。
ハイブリッド工法は、高速道路のトンエルなど、行政の公共事業でも採用されている工法であるため、安心して施工を任せることが可能です。
樹脂が本来持っている粘着力と、鉄の数倍の引っ張り強度を持っている強化繊維を併用しているので、相乗効果によって基礎コンクリートをより強く、強化することができます。
半永久的に、基礎コンクリートの寿命を延ばす効果が期待できるので、長年家で住むことを検討している方は、早めに検討してみてください。
また基礎補強については、劣化してから依頼するという方もいますが、基礎コンクリートが若いうちに施工することで、基礎コンクリートが劣化していない状況を長年維持することができるので、出来るだけ早めに施工した方がいいでしょう。
基礎補強工事の平均相場はあくまでも参考
今回は、基礎補強の平均相場について紹介していきましたが、基礎補強の費用は基礎コンクリートの状況や補強範囲によって金額が変動します。そのため、平均相場はあくまでも参考として覚えておくといいでしょう。
平均相場を理解しておけば、業者に見積もりを依頼した際に、金額が高いのか低いのか、判断することができます。
信頼できる業者の場合は、平均相場から高すぎず、低すぎない金額を提示してくれるので、複数の業者から見積もりを取得して、平均相場に近い業者をチェックしてみるといいでしょう。
基礎補強は、家の寿命に直結してくるので、早めに業者に相談して、施工を行ってもらってください。